不動産業務を効率化するには?業務別の改善策と優先順位・導入手順を解説

DX・システム

不動産業務の効率化|優先順位と改善の進め方
目次

不動産業務の効率化は、時間がかかっている仕事を特定し、重複や手戻りを減らすことから始めます。ツールを先に選ぶと、入力先が増えたり、一部の作業だけ速くなって前後の確認が残ったりすることがあります。

物件登録、提案資料づくり、追客、内見調整、賃貸管理の報告など、負担が大きい業務は会社によって違います。まず担当者・件数・所要時間を整理し、「なくす」「まとめる」「標準化する」「自動化する」のどれが合うかを考えましょう。

この記事では、不動産会社が業務効率化を進める手順と、業務別の改善策を解説します。そのまま社内で項目を調整して使える棚卸し表、マニュアルのひな型、効果測定の例も紹介します。

不動産業務の効率化は「時間がかかる仕事の特定」から始める

忙しさを業務・件数・時間に分解する

「毎日忙しい」だけでは、どこを変えるべきか決まりません。例えば同じ提案資料づくりでも、物件探しに時間がかかるのか、情報の転記なのか、上司の確認待ちなのかで対策は変わります。

まずは仕事を、開始から完了までの流れに分けます。担当者が実際に作業する時間と、他の人からの回答を待つ時間も分けて記録してください。入力を速くしても、承認待ちで数日止まっているなら、顧客へ届くまでの時間は大きく変わらないからです。

改善の出発点は、担当者の頑張りを評価することではなく、どの仕事に、なぜ時間がかかるかを共有することです。記録を人事評価に使う目的だと受け取られると、困りごとや例外が見えにくくなります。改善に使うことを説明し、実態を集めましょう。

売上につながる対応と減らせる作業を分ける

同じ1時間でも、顧客の希望条件を聞く時間と、同じ住所を複数の台帳へ転記する時間では役割が違います。効率化では、顧客に必要な説明や提案まで短くするのではなく、その前後の重複を減らすことを考えます。

例えば、内見前の確認をすべて削ると、鍵や待ち合わせの行き違いが増えるかもしれません。確認項目をそろえ、同じ内容を何度も聞かなくて済むようにする方が、品質を保ちながら改善できます。

時間の削減だけを目標にせず、何へ時間を振り向けたいかも決めてください。「反響後の初回対応を早める」「提案前に希望条件を整理する」など、具体的な顧客対応へ結びつけると、現場で目的を共有しやすくなります。

業務効率化とDX・AI導入の関係

業務効率化は、日々の仕事の負担や無駄を減らす取り組みです。DXは、デジタル技術を使って顧客体験や事業・組織のあり方まで変える、より広い取り組みとして考えられます。AIは、その中で文章の下書きや情報整理などを支援する手段の一つです。

必ずしも大きなシステム導入から始める必要はありません。入力項目を統一する、連絡窓口を決める、使われていない集計をやめるなど、運用の変更で取り組めるものもあります。

全社の方針づくりは不動産DXの進め方、AIの活用場面と注意点は不動産業界のAI活用で詳しく解説しています。

物件探し・提案・顧客対応の負担を整理したい方へ

Faciloのサービス全体から、自社が見直したい業務に対応する製品を確認できます。購入・売却・賃貸など、扱う業務に合わせて検討してください。

→ 自社で時間がかかる仲介業務を、どのサービスで補えるか見る

改善の優先順位を決める業務棚卸しの方法

担当者・頻度・時間・手戻りを記録する

棚卸しでは、業務名だけでなく、何を受け取って作業を始め、何ができたら完了するかを記録します。「物件提案」のような大きな括りは、検索、選定、資料作成、確認、送付に分けると原因を探しやすくなります。

次の表は、項目と記入方法を示した例です。数値を入れる場合は、自社で実際に測った値を使ってください。

業務

始まり・完了の条件

担当・頻度

記録する時間

手戻り・困りごと

改善候補

物件情報の登録

情報受領→掲載内容の確認完了

登録担当/物件ごと

転記、写真整理、確認

同じ項目を複数箇所へ入力

元データと受け渡し方法を統一

提案資料づくり

条件確認→顧客への共有

営業担当/提案ごと

検索、選定、資料作成

条件が曖昧で選び直し

条件の記録と候補共有を見直す

内見調整

希望受領→関係者への確定連絡

営業・事務/予約ごと

確認作業と回答待ちを別記録

鍵・移動時間の確認漏れ

確認項目と責任者を決める

オーナー報告

数値確定→送付と確認

管理担当/月次等

集計、照合、送付、再連絡

書類の修正や再送

作成元と配信先の連携を確認

「例外が起きた回だけ時間が長い」場合は、通常処理と例外処理を分けます。平均時間だけで整理すると、難しい案件が混じったことによる変化を、改善の成否と取り違えることがあるためです。

負担・改善余地・実施しやすさで候補を比べる

優先順位は、負担の大きさだけで決めません。件数が多く、手順が一定で、関係者の合意を得やすい業務は試しやすい候補です。一方、件数が少なくても、顧客への連絡漏れや誤送信につながる仕事は、品質面から優先する場合があります。

観点

確認する問い

負担

月に何件あり、合計でどれくらい時間を使うか

改善余地

重複入力・探し物・待ち時間・差し戻しのどれが多いか

影響

顧客対応、情報の正確さ、契約の進行へどんな影響があるか

実施しやすさ

担当者、元データ、例外条件が把握できているか

継続費用

設定・教育・保守・確認作業を誰が引き受けるか

複数候補がある場合は、この観点で理由を並べます。点数を付ける方法もありますが、数字にしただけで客観的になるわけではありません。「なぜこの業務を先に変えるのか」を説明できることが重要です。

なくす・まとめる・標準化する・自動化するを選ぶ

すべての業務を自動化へ進める必要はありません。仕事の目的と判断の必要性に応じて、改善方法を選びます。

方法

向いている作業の例

残すべき確認

なくす

誰も利用していない重複集計

法令・契約・社内判断に必要な記録ではないか

まとめる

同じ情報を複数担当へ別々に送る

必要な人だけに正しく共有されるか

標準化する

人によって聞き方や記録項目が違う

個別事情に合わせる余地、例外時の相談先

自動化する

入力・処理条件が明確な定型作業

エラーの検知、結果の照合、停止と復旧方法

例えば、重要事項説明の確認工程は、時間がかかるからといって省略できません。法令や契約上必要な作業かを確かめたうえで、書類の準備や接続案内など、周辺作業を改善します。

まず法令・契約上の義務や品質確認を残す。不要な重複はなくす・まとめる、判断や例外がある仕事は標準化と例外対応、条件が明確な定型処理は自動化の候補にする。
判断の整理図であり、自動化へ順番に進む工程表ではありません。必要な義務・品質確認を保ち、業務に応じて方法を選びます。

候補整理や提案資料づくりが改善候補になった会社の方へ

Facilo購入クラウドの機能を、棚卸しで見つかった作業と照らし合わせてみませんか。物件情報の取り込みや、お客様への候補共有に使える機能を確認できます。

→ 棚卸しした提案業務と比べる、購入クラウドの資料を請求する

業務別|不動産会社で見直せる7つの作業

物件情報の登録・掲載更新

物件情報は、住所、賃料・価格、面積、設備、写真など、多くの項目を扱います。登録先ごとに手入力を繰り返しているなら、どの情報を正本とするかを決め、連携・取り込みが可能な範囲を確認しましょう。

新規登録だけでなく、条件変更、募集停止、写真の差し替えまでが業務です。登録が速くなっても、更新が遅れると古い情報が残ります。「変更を誰が受け取り、どこまで反映し、何をもって完了とするか」を一覧にしてください。

自動取り込みを使う場合も、元データの誤りまで修正されるわけではありません。必須項目、金額、公開してよい写真・文言などの確認は残します。掲載ルールや取り扱い条件を満たしているかを、公開前に確認できる運用が必要です。

物件探し・比較・提案資料づくり

物件提案では、検索の速さと、顧客の条件に合う候補を選ぶことを分けて考えます。希望エリア、予算、優先条件、避けたい条件が曖昧なまま大量の候補を送ると、顧客も比較しにくくなります。

売買仲介では、顧客の条件を記録したうえで候補を集め、一覧や地図など、違いを確認しやすい方法で共有します。提案後は、顧客からの質問や反応を次の候補選びへ戻します。閲覧された事実だけで購入意欲を断定せず、本人との会話で確かめましょう。

売買仲介の物件提案を整えたい方へ

Facilo購入クラウドは、対応サイトからの物件情報の取り込み、帯替え、顧客専用マイページでの候補共有を支援します。資料作成と、お客様が比較する場をあわせて見直せます。

→ 取り込み・帯替え・候補共有をまとめて見直す、サービス資料を受け取る

賃貸仲介でも、候補がメールや添付資料に分かれると、どれが現在の検討対象か分かりにくくなります。お客様が候補を見返す場所を用意し、内見希望を受けたら募集状況や日程を確認する流れを整えます。希望を受け付けた時点と、内見が確定した時点は分けて管理してください。

賃貸仲介の候補提案・顧客対応を見直す方へ

Facilo賃貸クラウドでは、提案物件をお客様専用ページにまとめ、スマホでの比較や内見予約リクエストを支援します。家賃や修繕管理とは役割が異なります。

→ 賃貸の候補共有から内見までを支える、サービス資料を取り寄せる

反響対応・追客・顧客情報共有

反響対応では、受信した情報、担当者、初回連絡、次の対応予定がつながっているかを確認します。受信箱にメールが届いていても、担当が決まっていなければ対応が進みません。

顧客情報の記録には、希望条件、連絡方法、対応内容、次の連絡予定など、引継ぎに必要な項目をそろえます。すべてを長文で残すのではなく、別の担当者が「何が決まっていて、何が未確認か」を判断できる状態にすることが目的です。

定型文は初回案内の漏れを防ぐ助けになりますが、顧客からの質問に答えない一斉文面では不十分です。送信前に対象者、物件、日程、回答内容を確認し、自動送信が行われた後の返信も担当者が追えるようにします。

具体的な製品比較は、不動産CRMの機能と選び方で確認できます。

内見の日程調整と引継ぎ

内見調整は、顧客の希望日時だけでなく、物件の募集状況、鍵、案内担当、移動時間などを扱います。個別のメッセージだけで調整すると、確定前と確定後の情報が混ざりやすくなります。

予約の状態を「希望受領」「関係者へ確認中」「確定」「変更・取消」などに分け、確定連絡を誰が送るか決めましょう。カレンダーへ入れただけで顧客への案内が完了したことにはしない運用が必要です。

担当交代時には、鍵の扱い、待ち合わせ、顧客が気にしている点、確認待ちの事項を引き継ぎます。終了後の感想も同じ場所へ残すと、次の提案で同じ条件を聞き直すことを減らせます。

契約書類・IT重説の準備

契約前後の業務は、速さだけでなく正確さが重要です。必要書類、作成・確認担当、期限、最終版の保存場所を決め、以前の版を誤って送付しないようにします。

IT重説では、説明をオンラインにするだけで準備が不要になるわけではありません。書面の事前交付、映像・音声、書類を確認できる環境、宅建士証の提示などを確認する必要があります。電子書面の場合には、説明中の宅建士の映像との同時閲覧も考慮します。国土交通省の実施マニュアルに沿って運用を整えてください。

効率化の対象は、例えば案内文のひな型、書類の準備状況の共有、接続テストの日程調整です。確認や説明そのものを省くこととは区別します。対応条件はIT重説対応物件と実施の確認事項も参考になります。

賃貸管理の収支報告・修繕連絡

賃貸管理では、家賃の入金、送金、報告書、修繕の見積もりや承認など、数字と連絡の両方を扱います。転記が多い場合は、情報の作成元と、報告書・台帳・連絡先への受け渡しを整理しましょう。

修繕依頼では、受付、緊急性の判断、担当への手配、見積もり、承認、完了確認を区別します。チャットに連絡が届いただけで、誰かが手配を始めたと考えないことが大切です。

管理システムやアプリを検討するときは、入金・送金などの基幹処理と、オーナー・入居者への連絡を分けて要件を整理します。製品選びは賃貸管理システムの比較・選定へ進んでください。

集計・会議・社内報告

集計の効率化では、報告資料を自動作成する前に、何の判断に使う数字かを確認します。見られていない表や、定義の違う数字を複数部門が集計している場合は、項目を整理するだけでも改善の余地があります。

「反響数」「来店数」「内見数」などは、重複や取消をどう扱うか、何を1件とするかをそろえます。定義が違うままグラフをまとめても、担当者や期間を正しく比べられません。

会議では、数字の読み上げと、判断が必要な議題を分けます。7つの業務に共通するのは、処理の速さだけでなく、開始・完了・確認責任を明確にすることです。ツールを導入しても残る人の判断を、先に整理しましょう。

改善を試す業務が決まったら、次のような項目を記録すると、速さと品質を一緒に確かめられます。以下は編集部による測定項目の例です。自社の作業範囲に合わせ、改善前後で同じ開始・完了条件、件数の数え方を使ってください。

業務

最初に測る項目の例

物件情報の登録・更新

変更受付から掲載反映までの時間、1件あたりの転記時間、訂正件数

物件提案

1顧客分の提案準備時間、条件の相違による作り直し件数

反響対応・顧客情報

反響受信から初回対応までの時間、未対応件数、引継ぎ漏れの件数

内見調整・引継ぎ

希望受領から日程確定までの時間、再調整や連絡漏れの件数

契約書類・IT重説の準備

1契約あたりの準備時間、不足書類・差し戻し・接続準備漏れの件数

賃貸管理の報告・修繕連絡

1件の報告作成から送付までの時間、再送件数、期限を過ぎた修繕・承認待ちの件数

集計・会議・社内報告

1回の集計作業時間、数字の不一致や訂正件数、判断が持ち越された議題数

作業に手を動かした時間と、返答を待つ時間は分けて記録します。後半の「小さく試して効果を確かめる4つのステップ」で、こうした指標を使った前後比較を説明します。

属人化を防ぐマニュアルと情報共有の整え方

目的・手順・判断基準・例外対応を1セットにする

マニュアルは、操作画面の説明だけでは足りません。何のために作業し、どこまで終われば完了なのか、判断に迷ったときに誰へ相談するかまで含めます。

例えば「反響が届いたら返信する」だけでは、返信できない質問が来たとき、担当が不在のとき、既存顧客から再反響があったときの対応が分かりません。通常の手順と例外を分けて書くと、現場で使いやすくなります。

次の表は、内見調整を例にしたひな型です。自社の役割や使用ツールに合わせて変えてください。

項目

記入例

業務の目的

顧客・物件側・案内担当が同じ日時と条件を確認した状態にする

開始条件

顧客から内見希望を受け取り、対象物件が分かっている

必要な情報

希望日時、対象物件、連絡先、鍵、案内担当、待ち合わせ

標準の手順

募集状況確認→関係者へ日程確認→担当確定→顧客へ案内→記録

完了の条件

関係者への確定連絡が済み、記録と予定表が一致している

例外

鍵が確保できない、募集終了、直前変更、担当不在

相談先

通常時の責任者、責任者不在時の代替担当

記録・見直し

保存先、更新担当、最終確認日、変更理由

細かい操作が頻繁に変わる場合は、判断基準を本文に置き、操作画面は別資料として更新する方法もあります。長いマニュアルを一度に完成させるより、問い合わせや差し戻しが多い作業から整えると実態に合わせやすくなります。

顧客・物件の記録場所と更新担当を決める

属人化を防ぐには、情報を共有するだけでなく、何を正しい最新版として使うかを決める必要があります。担当者のメモ、共有フォルダ、CRMに異なる内容があると、確認のために本人へ聞き直す作業が残ります。

顧客情報、物件情報、契約書類、予定ごとに、正本と更新担当を決めます。個人情報は、業務に必要な担当者が必要な範囲で確認できる権限にしてください。全員が何でも見られる状態が、よい共有とは限りません。

退職・異動時には、アカウントの停止、権限変更、未対応案件の引継ぎをセットで行います。顧客との連絡が個人の端末だけに残らないよう、日々の記録ルールから整えましょう。

変更履歴と見直しのタイミングを設ける

業務ルールが変わったら、誰が、何を、いつ変更したかを残します。古い手順を見て処理されないように、参照先を一本化し、重要な変更は関係者へ案内してください。

見直しは、システム変更、新しい例外の発生、顧客からの指摘、担当交代などをきっかけに行います。「年に一度更新する」と決めていても、実際の手順が変わったときには修正が必要です。

マニュアルを使った担当者から、迷った箇所を集める仕組みも用意します。内容を増やすだけでなく、よくある判断が見つけやすいか、不要になった説明が残っていないかも点検しましょう。

顧客情報や対応履歴の共有を見直したい方へ

FaciloのCRMでは、顧客情報や対応の記録をまとめる機能が案内されています。自社の引継ぎや追客の要件に合うか、製品ページで対応範囲を確認できます。ページには今後提供予定の機能も含まれ、AI機能は開発中の表記があります。

→ 引き継ぎに使う顧客情報・対応履歴の管理機能を確認する

業務効率化ツールは対象業務と運用条件で選ぶ

物件入稿・顧客管理・物件提案を区別する

不動産向けのツールには、物件を管理するもの、顧客を管理するもの、提案や情報共有を支えるものがあります。同じ「一元管理」という表現でも、扱う対象は異なります。

種類

主な対象

選定で確認すること

物件入稿・掲載管理

広告や募集に使う物件情報

対応する掲載先、更新・停止の反映、確認工程

顧客管理・CRM

顧客属性、希望条件、対応履歴、次の行動

反響取り込み、担当割当、権限、既存データとの関係

物件提案・共有

顧客へ提案する候補、資料、検討状況

候補の取り込み、比較画面、顧客の操作、提案後の記録

例えば、課題が「物件広告への同じ情報の転記」なら入稿・掲載管理を、「担当者が休むと追客状況が分からない」なら顧客管理を先に検討します。複数の役割を持つ製品でも、自社が必要とする機能の提供状況やプランを確認してください。

サービスの名称にAIが含まれていても、紹介されている機能がすべて提供済みとは限りません。製品ページの注記、提供予定の表示、契約時点の対象機能を確認し、将来の予定を現在できることとして見積もらないようにします。

賃貸管理システム・電子契約・RPAの役割を分ける

賃貸管理システムは、家賃請求、入金消込、送金、契約更新などの管理業務を扱います。電子契約サービスは契約締結の手続きを支援し、IT重説は重要事項の説明方法に関わります。これらを一つの機能として扱わず、必要な工程をつないで考えます。

RPAは、決まった条件で繰り返すパソコン操作などを自動化する候補です。ただし、画面や入力形式が変わると処理の調整が必要になる場合があります。業務手順自体が頻繁に変わる段階では、先に標準化する方が適していることもあります。

ツールの役割を整理するには、不動産管理システムの全体分類も参考になります。この段階では、すべてを一度に入れ替えず、今回変える業務と既存環境の接点を決めましょう。

連携・権限・定着支援・総費用を確認する

ツールの評価は、機能があるかに加えて、自社のデータと担当者で業務が最後まで進むかで行います。デモではきれいなサンプルだけでなく、項目の不足、重複、変更や取消といった場面も確かめます。

確認軸

契約前に確かめること

連携

対象システム、連携項目、方向、更新頻度、エラー時の修正方法

権限・記録

閲覧・編集の範囲、操作履歴、担当交代、アカウント停止

定着支援

初期設定、研修、問い合わせ窓口、社内で必要な担当

費用

初期費、月額、人数・件数による増額、オプション、社内運用工数

終了・変更

契約期間、解約条件、データ出力、移行時に残る作業

既存の業務に合わせる部分と、ツールに合わせて手順を変える部分も明確にします。どちらも決めずに導入すると、従来のExcelや個人メモが残り、入力先だけが増えやすくなります。

売買仲介で購入検討客への提案を改善したい会社の方へ

候補の整理・共有に使えるFacilo購入クラウドの機能を、現在の提案手順と比較できます。対応する情報取得先や利用できるプランも含めて確認してください。

→ 今の買主への提案手順に合うか確かめたい(サービス資料を請求)

小さく試して効果を確かめる4つのステップ

対象と基準値を決め、一部で試し、時間・ミス・手戻りと顧客対応の質を比較。効果と品質を確認できれば展開し、負担や問題が残れば対象や手順を見直して再試行する。
業務改善の進め方の例です。効果の実績値を示す図ではありません。結果によっては対象を戻して再設計します。

対象業務と責任者・基準値を決める

最初に、どの業務を、誰が、どの範囲で変えるかを決めます。「営業を効率化する」では広すぎるため、例えば「購入検討客への候補資料の準備と共有」のように、開始と完了を測れる単位へ絞りましょう。

現在の件数、1件当たりの時間、修正や問い合わせの件数を記録します。繁忙期と閑散期、簡単な案件と複雑な案件では条件が異なるため、比較する期間や案件の範囲も残してください。

責任者は、操作の質問に答える人だけではありません。手順を変える判断、問題が起きたときに止める判断、対象を広げる判断を誰がするかも決めます。

一部の担当者で試す

対象業務を扱う担当者で試行し、通常の処理と例外を両方確認します。操作に詳しい人だけで試すと、他のスタッフが迷う箇所を見落とす場合があります。実際に使う担当者の意見を集めましょう。

試行中は旧手順も必要になることがありますが、二重運用をいつ終えるか決めておきます。比較のための一時的な作業が、恒久的な負担として残らないようにしてください。

顧客へ送る内容や掲載情報に影響する変更は、確認担当を置きます。自動処理の結果を最初から無条件に採用せず、想定したデータが出ているかを確かめましょう。

時間だけでなく品質・顧客対応も測る

作業時間が減っても、誤り・手戻り・顧客からの問い合わせが増えていれば、改善が完了したとはいえません。速さと品質を同じ表で確認します。

指標

比較する方法

注意点

作業時間

同じ範囲の仕事の合計時間、1件当たりの時間

確認や修正、保守の時間も含める

処理完了までの時間

依頼受領から完了まで

人の作業と待ち時間を分ける

品質

誤入力、差し戻し、再送の件数・割合

件数だけでなく全処理件数も記録

顧客対応

初回対応、未対応、問い合わせの内容

対象顧客や期間の違いを考慮

利用状況

対象者のうち実際に業務で使った人数・件数

ログイン数だけを成功指標にしない

効果の計算例も見てみましょう。以下は仕組みを説明するための仮定であり、Faciloや実在企業の実績ではありません。

ある作業が月100件あり、1件10分から6分になった場合、処理部分の差は「100件×4分=400分」です。一方で、新しく月60分の確認・設定作業が必要なら、差し引きの時間は340分、つまり5時間40分になります。

月額費用との比較で時間を金額換算する場合は、自社で設定した時間単価を使います。ただし、時間が空いたことと、その分だけ人件費の支払いが減ることは同じではありません。顧客対応や提案件数へどう振り向けたかまで確認すると、実務上の価値を判断しやすくなります。

続ける範囲と次の改善を決める

試行の結果は、「続ける」「修正して再度試す」「今回は戻す」に分けて判断します。導入したこと自体を成果にせず、当初の課題が改善したかを見てください。

対象を広げる場合は、手順書、担当者、問い合わせ先、例外時の対応を整えてから進めます。別の拠点では物件種別や顧客の連絡方法が異なる場合があるため、同じ設定がそのまま適するかも確認しましょう。

導入後の運用を具体例から考えたい方へ

Faciloを活用する企業の取り組みを、導入事例集で確認できます。自社との業務や体制の違いも踏まえ、改善対象を考える参考にしてください。

→ 他社は導入後どう使った?仲介会社の事例集を請求する

不動産業務の効率化でよくある失敗と対策

入力先が増える

新しいツールに情報を入れながら、従来のExcelと個人メモにも同じ内容を残すと、更新の不一致が起きやすくなります。連携している場合でも、同期しない項目や反映までの時間があるかもしれません。

対策は、項目ごとの正本と更新場所を決めることです。どこへ入力すればどこまで反映されるかを図や表にし、変更・削除・取消も試してください。残す台帳には、残す理由を明示します。

利用ルールがなく使われない

アカウントを発行しただけでは、日常業務で使うタイミングが決まりません。顧客対応が終わった後に記録するのか、次の担当へ引き継ぐ前に入力するのかを明確にします。

すべての項目を必須にすると、入力だけで負担が増える場合があります。引継ぎや判断に必要な項目から始め、使われていない項目は目的を確認しましょう。操作の研修と、業務ルールの説明は分けて行うと理解されやすくなります。

自動化した処理を確認できない

自動処理が止まったことに気づけない、誤った対象へ一斉送信された、どこまで処理されたか分からないといった状態は避ける必要があります。完了とエラーの記録、通知先、停止方法、再実行の担当を決めてください。

AIを使った文章や要約にも、誤りや不足が含まれる可能性があります。物件条件、金額、契約に関わる説明を、確認なしに公開・送信しない運用にします。個人情報や社外秘情報を入力する際は、会社が認めるサービスと設定、利用範囲に従ってください。

少人数の会社でも取り組める?

取り組めます。ただし、管理担当を増やす余裕が少ない会社ほど、運用や保守に必要な作業まで確認することが大切です。多機能なシステムを一度に使い切ろうとせず、二重入力や提案準備など、負担が見えやすい仕事から試しましょう。

少人数でも、正本・担当・完了条件・例外時の連絡先を決めることが、改善を続ける土台になります。操作を覚えた1人しか使えない状態を作らず、不在時に引き継げる手順を残してください。

まず1つの業務から、不動産会社に合う改善を進めよう

棚卸し・標準化・試行をつなぐ

不動産業務の効率化は、仕事の実態を測り、負担の原因に合う方法を選び、小さく試す順で進めます。最初からすべての業務を変えず、棚卸し表から1つの対象を選びましょう。

手順を変えた後は、時間の削減と、情報の正確さ・顧客対応の品質を合わせて確かめます。うまくいった方法をマニュアルと記録ルールに反映し、担当が変わっても続く形にすることが大切です。

物件提案と顧客対応の改善を検討する

棚卸しで、候補物件の整理、提案資料づくり、顧客との情報共有に負担が見つかったなら、その業務を支援するサービスの機能と運用を確認できます。

提案の準備から、お客様が比較する場まで整えませんか

Faciloは、不動産仲介の物件提案や顧客対応を支えるサービスです。資料を作る作業だけでなく、お客様が候補を見返し、次の相談へ進む流れも合わせて見直せます。

  • 物件情報の取り込み・帯替え: 対応する情報取得先や機能を使い、提案準備を支援します。
  • 顧客専用ページで候補を共有: 一覧や地図などで、比較・検討しやすい場を用意できます。
  • 閲覧状況や内見希望を確認: お客様との会話や次の提案・日程調整に使う情報を得られます。

売買仲介で購入検討客への提案を見直す方は、買主への提案準備を効率化する、サービス資料を受け取るをご覧ください。

賃貸仲介のお部屋探し支援を見直す方は、賃貸の提案と顧客対応を整える、サービス資料を受け取るで対応機能を確認できます。利用できる機能・対象サイト・条件は、製品やプランによって異なります。

執筆:Facilo編集部/製品・制度情報の確認日:2026年10月8日