不動産マーケティングとは?集客に役立つ施策を徹底解説
全国宅地建物取引業協会連合会の調査では、不動産を探す時に新聞広告を利用した人は8.7%である一方、インターネット広告を利用した人は60.9%にものぼります。
新聞広告に比べて7倍ものユーザーがインターネット広告を利用しており、近年では旧来のマーケティングや広告宣伝の手法が通じにくくなっています。
不動産マーケティングの変化を理解することで、今ある人的リソースだけでも媒介契約の増加や仲介業務の効率化に結び付けられるでしょう。
そこで、この記事では不動産マーケティングがどのように変化しているのか、また近年の不動産マーケティングに欠かせないポイントについて解説します。
不動産業界が抱える営業課題を解決できていない不動産会社や、よりよい営業によって成約率を高めたい不動産会社はぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.不動産マーケティングとは
- 1.1.不動産マーケティングの特徴
- 1.2.従来の不動産マーケティングの方法
- 2.不動産業界の営業課題
- 3.戦略的な不動産マーケティングの方法
- 4.不動産マーケティングを成功させるポイント
- 4.1.市場調査を行う
- 4.2.ターゲット層を設定する
- 4.3.KPIを設定する
- 4.4.ブランディングを行う
- 4.5.マーケティングプロセスの全体を可視化する
- 5.デジタルな不動産マーケティングに対応するにはクラウドツールの利用がおすすめ
不動産マーケティングとは
マーケティングとは商品やサービスの価値を創造し、顧客に認知してもらうための活動を指します。不動産業界においては、一般の商品とは異なる観点から、業界の実情に合ったマーケティング活動が必要です。
マーケティング戦略がどのように変わってきたのかを把握しておく必要があるため、以下では不動産マーケティングの特徴について解説していきます。
不動産マーケティングの特徴
ITの普及により、一人ひとりの顧客に対して最適化された情報を提供することが重視されるようになりました。不動産マーケティングが変化したのは、市場やメディア、接客の要望などが変わったことが主な理由です。顧客をマスとして捉えていた時代から転換し、ターゲット層を細分化した上でカスタマイズされた価値を届けることが求められています。
不動産は高額商品であるため検討期間が長く、加えて一般媒介の物件であれば複数の不動産会社で同一物件を紹介できることから、競合他社との差別化が難しいです。
商品やサービスを効果的に売るためには集客を増やし、適切なアプローチを行うことが大切です。マーケティングのデジタル化と不動産マーケティング特有のポイントの両方を押さえ、自社の成長につながる方法を考えていきましょう。
従来の不動産マーケティングの方法
不動産業界では、デジタル化が他の業界に比べて遅れており、現在でもアナログ的な手法でマーケティングや広告を行っている会社が多く存在します。
従来行われていた不動産マーケティングの代表的な方法は、物件の紹介や募集を行うチラシのポスティング、新聞折り込み広告、不動産情報誌への掲載、DM(ダイレクトメール)、現地看板の設置などです。
従来の方法の特徴として、デジタル広告ではリーチすることができないユーザー層に対してアプローチできるというメリットがある一方で、費用対効果が図りづらかったり、始めるのに工数がかかるなどのデメリットも多く存在していました。
従来行われてきたマーケティング手法の一部は、今後も残り続ける可能性が高いですが、全体として旧来の不動産マーケティングや広告の手法のみでは十分な反響が獲得しにくくなると考えられます。
不動産業界の営業課題
不動産マーケティングを考える上で、不動産営業が直面している課題について整理しておきましょう。以下のような課題を解決するために、戦略的な不動産マーケティングを活用し、売上の成長を目指していくことになります。
まずは、最重要課題ともいえる日本全体の人口の減少です。少子高齢化による人口の減少に伴い、日本の不動産需要が低下しつつあります。
内閣府が発表する「令和6年度版高齢社会白書」によると、令和5年10月1日現在の人口が1億2,435万人であるのに対し、約30年後には1億人を割ることが推計されています。不動産マーケットも同様に、約30年後には現在の8割程度に縮小されるかもしれません。
次に、中小企業の課題として多く挙げられるのが「顧客管理」です。上で紹介した不動産の特徴があるように、不動産業界は業者間の競争が激しく、物件数や問い合わせを増やすことも容易ではありません。集客した顧客がどれだけ見込みがあるのかをそれぞれ管理し、また長期的に追客営業することが求められます。
また、人材不足による業務負荷の増大も、不動産業界の課題の一つです。高額商品である不動産は、成約までにかかる時間が長いため追客営業は欠かせず、限られたリソースで継続的にアプローチをかける必要があります。
積極的にツールを導入して業務を効率化し、自社に合ったマーケティング施策を見極めてリソースを割くことが求められます。
戦略的な不動産マーケティングの方法
従来の不動産マーケティングの方法では、不動産業界における営業課題を解決するのは困難です。そこで、今後必要とされる、マーケティングや広告宣伝の手法について以下で紹介していきます。
ポータルサイト
SUUMOやathome、LIFULL HOME'Sといった不動産ポータルサイトを利用することは既に一般化しており、多くの不動産会社が紙媒体から不動産ポータルサイトへ移行しています。
不動産ポータルサイトは不動産会社が独自に作成している自社ホームページに比べて、圧倒的に集客力があり、多くのトラフィックを獲得することが可能です。紙媒体に比べても集客力の高さを実感できる場合が多いでしょう。
ただし、掲載料金がかさんでしまう点には注意が必要です。ポータルサイト内で同じ物件や類似物件が並んでしまうことも多く、新たな競争が発生する可能性もあるでしょう。
ライバル会社の物件と比較されるため、効率的な集客を行うためにはどのように差別化するかを考えておくべきです。
ホームページ
多くの不動産会社が自社のホームページを持っており、取り扱い物件の掲載や資料請求、問い合わせ獲得に向けた取り組みを行っています。ホームページではブランドイメージの向上や情報提供の効率化が可能ですが、定期的に更新するなど維持管理が必要です。
実際に自社ホームページからの集客はあまり順調ではなく、集客のほとんどをポータルサイトやその他の広告手法に頼っています。なかには大きな予算をかけて、自社ホームページの検索エンジン最適化(SEO)に力を入れている会社もありますが、多くの場合はリソースや費用の問題から自社ホームページを有力なマーケティングツールとして活用するのは難しいというのが現状でしょう。
不動産会社の自社ホームページはつくること自体は難しくないものの、しっかりとした検索エンジン対策を行い、価値のある媒体に育てることが難しいというデメリットがあります。
Web広告
インターネットマーケティングでは、自然検索による自社ホームページへの流入が獲得できない場合、主としてWeb広告が利用されます。Web広告にはさまざまな種類がありますが、主力となるのは検索結果の画面上部などに表示されるリスティング広告でしょう。
ユーザーが検索したキーワードに対して適切な広告を出稿することで、広告から自社ホームページや、自社ラインディングページへの流入が期待できます。
Web広告は自然検索によるトラフィックの獲得に比べて短期的に成果を上げられる反面、費用がかかることや、費用をかけるのをやめた途端にトラフィックがゼロになってしまうというデメリットがあります。
ホームページへの自然流入と、Web広告をバランスよく利用する戦略を取るのが一般的です。
SNS
近年ではInstagramやX(旧Twitter)、FacebookなどのSNSをマーケティングに活用する不動産会社が増えています。SNSは、不動産会社が潜在顧客とつながるために欠かせないプラットフォームです。
Web検索を利用していないユーザー層に写真や動画、不動産関連の豆知識を発信するなどしてアプローチできます。より多くの人に拡散しやすい上、まだ不動産の購入・売却意思が明確ではない潜在層にアプローチできるのがSNSのメリットです。
ただし、SNS運用も決して簡単ではなく、SNSをマーケティングツールとして捉えて活用するノウハウが必要になります。SNSを利用してマーケティングを行う際にも事前にしっかりと情報収集し、運営方針を立てて継続した努力を続ける必要があるでしょう。
MA
注目を集めているマーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客の情報を効率的に管理し、商談を獲得するまでのフェーズを改善するためのツールを指します。
一般的に、顧客は最初に接触した時点から、さらに情報収集や比較検討を行い、その後に商談を申し込むといった手順を踏みます。特に不動産は高額商品なので検討期間が長く、その間顧客をつなぎとめることが困難です。
タイムリーに情報提供を続け、コンタクトを取り続けることで商談獲得を最大化することが、不動産業界におけるMAの目標といえます。
今後はどれか一つのマーケティング手法を取るという形態から、仲介業務全般をサポートしてくれるシステムを活用し、総合的にマーケティング戦略を立てていく必要があるでしょう。
メルマガ・LINE
以前からメルマガをマーケティングツールの一つとして利用する不動産会社はありましたが、近年では発信したメールが迷惑メールフォルダに振り分けられてしまうことも多く、公式LINEにシフトする会社が増えつつあります。
公式LINEやメルマガは比較的低価格でスタートでき、ユーザーに継続的に関心を持ってもらえる効果が期待できます。また、ユーザーごとに配信内容を設定できたりコミュニケーションを取れたりするため、1対1の関係をつくるのに効果的です。
一方で、ステップシナリオを意識したメッセージを効果的に配信したり、細かなセグメント分けをしたりするなど、マーケティングの知識が必要不可欠です。
メルマガやLINEは簡単に始められ、ある程度の効果は見込めますが、本当に有効なツールとして使うには深い知識が要求されるでしょう。
オフラインのイベント・説明会
オフラインのイベントや、新築物件の見学会・説明会など、顧客と直接交流して現地で広報活動を行う方法もあります。対面してコミュニケーションを取れるため、信頼関係の構築がしやすく、顧客のニーズを深く理解して営業活動を行うことが可能です。併せて自社ブランディングも行えるでしょう。
ただし、物件を実際に見てもらうオープンハウスを行う場合、運営コストがかかる上に集客できる人数が限られます。「広告宣伝に失敗して誰もお客さんが来なかった」ということもあり得るでしょう。
オフラインでのイベントや説明会は集客のツールというよりも、どちらかというとクロージングのために開催するものと考えられます。オフラインイベントは、さまざまなマーケティング手法と組み合わせ、最終的に商談からクロージングへつなげる一つの方法として実施するのがおすすめです。
不動産マーケティングを成功させるポイント
不動産仲介や管理業務は多岐にわたり、不動産営業の多くは業務に追われています。不動産会社にとって、マーケティングについて深く考える時間が取れないというのが実情です。
しかし、以下のポイントを押さえておけば、ライバルに差をつけることが十分期待できるでしょう。ここでは不動産会社として行っておきたい、不動産マーケティングを成功させるために重要なポイントを解説します。
市場調査を行う
ほとんどの不動産会社では、自社の商圏について市場の概要を把握しています。改めてターゲットエリアの市場調査を行うことで、効果的なマーケティング戦略を立てやすくなるでしょう。
ターゲットエリアに居住する世帯の年齢や性別、家賃、地価の相場、エリアの歴史、観光情報などの基本データを整理すると、自社に不足していたものやこれから獲得したいユーザー層など新たな目標が明確になります。
また、今後自社の商圏で人口が増えるのか減るのか、といった人口動態を確認しておくのもよいでしょう。
ターゲット層を設定する
市場調査に基づき、改めて自社でターゲットとするユーザー層を設定してみてください。年齢や性別、家族構成、収入、行動エリア、ライフスタイルなどを整理すると、アプローチすべきターゲット層が明確になります。
不動産会社の場合、もともと把握している地域の情報などから、経験や勘でターゲット層を決めてしまいがちです。マーケティングを意識してターゲット層を設定すると、物件の種類やアプローチ方法を決めやすくなります。
KPIを設定する
KPI(キー・パフォーマンス・インジケーター)は業績評価指数のことで、目標の達成度合いを明らかにするために設定します。KPIを設定することで、目標に向けて計画を立てやすくなるでしょう。
自社ホームページなどのPV数や自然検索による流入数、コンバージョン率、ポータルサイトやSNSからの流入数などについて目標を設定し、達成度を計測するのがおすすめです。
一定期間内にKPIを達成できなかった場合は原因を解析し、課題を見つけて改善する必要があります。継続して行うことで、精度が向上していくでしょう。
ブランディングを行う
インターネットの普及と共に、不動産業界でも他社と横並びで比較されることが増えてきました。不動産業界では競合他社と比較されて成約率が変わることが多いため、自社のブランドイメージを確立させて差別化することが大切です。
不動産会社にとって必要なブランディング手法は、主に事業ブランディングと商品ブランディングです。事業ブランディングにおいては統一されたデザインやSNS運用を通じて、クリーンかつパワフルな印象をつくり上げましょう。事業ブランディングは業績アップだけでなく、求人や採用時にもメリットがあります。
顧客から選んでもらえるブランドイメージを育てるために、プロ意識や自社の価値観を反映させつつ、顧客のために何ができるのかを表現しましょう。
マーケティングプロセスの全体を可視化する
マーケティングは一度やれば終わりではなく、継続的にKPIを回し続け、改善を続けるプロセスです。どの施策が成約につながり、思うように成果を上げられなかったのかをしっかり把握して適切な判断をするために、マーケティングプロセスの全体を可視化することは重要なポイントとなるでしょう。
正確なデータを取るにはデータマネジメントの基盤をつくる必要がありますが、手作業で行うにはかなりの工数が必要です。データを一元管理できるようにすれば、施策の成果を確認しやすい上に、顧客理解をより深められるでしょう。
『facilo(ファシロ)』のようなクラウドツールを使うと、大幅な工数や手間を省き、簡単にデータの一元管理を実現できます。
デジタルな不動産マーケティングに対応するにはクラウドツールの利用がおすすめ
不動産の仲介業務を効率化できる『facilo(ファシロ)』は、顧客との煩雑なコミュニケーションを一元化し、可視化できるクラウドツールです。事務作業や顧客とのコミュニケーションをブラウザ上に集約することで、業務の効率化を図り、KPIも把握しやすくなります。
加えて物件提案に対する顧客の反応をログとして取得し、顧客の関心度や物件の好みを可視化することも可能です。営業活動の優先順位付けや、物件提案の精度向上が期待できるでしょう。
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