物件管理をエクセルで行う方法|不動産業務に役立つ手順やツールとは
物件数や顧客数が一定以上になってくると、帳簿などを使ったアナログな管理には限界が訪れます。管理数が多い時に便利なのが、エクセルを使った物件管理・顧客管理です。エクセルは汎用性が高く、操作に慣れている人も多いため、一度フォーマットを整えれば比較的簡単に運用をスタートできます。
本記事では、エクセルを使用して物件管理・顧客管理をする際の手順を具体的に解説すると共に、エクセルによる管理のメリット・デメリットを紹介します。課題を克服するのに有効な物件管理システムについても紹介するので、不動産業務の効率化を図る際の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.エクセルの表を使った物件管理・顧客管理の手順
- 1.1.項目設定
- 1.2.データの入力規則の設定・情報入力
- 1.3.賃貸業務に合わせた運用・更新
- 2.物件管理・顧客管理をエクセルで行うメリット
- 2.1.コストパフォーマンスが高い
- 2.2.操作・機能がシンプルで簡単
- 2.3.汎用性が高い
- 2.4.自由にカスタマイズできる
- 3.物件管理・顧客管理をエクセルで行うデメリット
- 3.1.複数人での共有・操作が難しい
- 3.2.管理が難しい
- 3.3.ファイルが重くなる
- 4.物件管理・顧客管理をエクセルで行うことに対する課題
- 4.1.データの一元管理が難しい
- 4.2.セキュリティリスクがある
- 4.3.業務効率が悪い
- 5.エクセルの課題を解決する物件管理システムの導入
- 6.クラウドツールを活用した業務効率の改善がおすすめ
エクセルの表を使った物件管理・顧客管理の手順
まずは、実際にエクセルを使って物件管理・顧客管理を行う際の手順を3つのステップに分けて解説します。物件や顧客の情報を追加する際、できる限り手入力を減らした方がミスを防止できます。そのため、必要な入力項目やデータの入力規則はできるだけ詳細に設定しておきましょう。
項目設定
エクセルでの情報管理で重要となるのが網羅的な項目設定です。テンプレートを作成する前に、物件管理や顧客情報に必要な項目を思いつく限り洗い出していきます。その中から管理すべき項目をピックアップして、テンプレートのシートに設定していきましょう。物件情報を例に、主に設定すべき項目は次の通りです。
- 物件名
- 物件の所在地
- 築年月
- オーナー名
- 空室状況
- 入居者情報(入居者がいる場合に記載)
- 設備点検の実施状況
- 改修工事の実施状況 など
上記はあくまでも一例であり、必要な項目があれば適宜追加します。実務に落とし込み「どのような項目があると管理しやすいか」を意識して、項目を設定することが大切です。
データの入力規則の設定・情報入力
次に、設定した項目ごとに関数を入力したり、条件付き書式を設定したりします。あらかじめ入力規則を設定しておけば、入力ミスや表記のバラつき、管理状況の入力漏れ・見逃しなどを防ぐことが可能です。
物件管理や顧客管理に便利な入力規則・関数としては、空室率を自動計算する関数、情報更新から一定日数が経過した際に警告テキストを表示する設定、選択式でデータを入力するプルダウンの設定などが挙げられるでしょう。具体的には次のような関数を用いると、管理が便利になります。
SUM関数 |
指定した範囲の数値を足し合わせる関数 |
IF関数 |
指定した条件に基づき真偽を分け、異なる答えを返す変数 |
DATEDIF関数 |
入力した2つの日付の間の期間をカウントする関数 |
VLOOKUP関数 |
テーブル内や指定範囲内の内容を、行ごとに検索する関数 |
最初の設定にどうしても時間がかかるものの、長期的な運用を考えると細かく設定しておいた方が得策です。一通り設定が完了したら、実際の物件情報や顧客情報を入力していきます。
賃貸業務に合わせた運用・更新
管理項目や関数の設定が完了し、現時点での物件情報や顧客情報を入力し終えたらエクセルシートの運用を開始します。新たな情報の追加、既存情報の更新などは都度行うのがおすすめです。できるだけリアルタイムに情報を更新することで、社内での管理やメンバー間での引き継ぎがスムーズになります。
反対に、業務進捗がエクセルシートに反映されていないと、実際の管理状況とシートの内容にズレが発生し、確認漏れや担当間での認識の齟齬などトラブルにつながる恐れがあるため注意が必要です。
物件管理・顧客管理をエクセルで行うメリット
エクセルによる物件管理・顧客管理を導入すると、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。以下で4つのポイントを紹介していきます。
コストパフォーマンスが高い
エクセルは、パソコンの標準ソフトとして最初から備え付けられていることが多く、追加で費用がかからず利用できるのは大きなメリットです。フォーマットの設定さえ終わってしまえば、簡単に運用をスタートできるでしょう。
また、エクセルはその他の業務でも使用できるというメリットもあります。物件管理や顧客管理のために新たに導入するわけではないので、コストパフォーマンスの高い選択肢です。
操作・機能がシンプルで簡単
操作性や機能のシンプルさもエクセルの魅力です。標準ソフトとして広く浸透しているエクセルは、業務で使用経験のある人も多く、使用方法を学ぶための勉強会などを開く必要がありません。操作も直感的で分かりやすいため、使ったことがない人でも少し触れれば簡単に使いこなせるようになります。
新規ツールを導入すると、定着させるために時間やコストがかかりますが、エクセルの場合は不要です。
汎用性が高い
営業支援ツールや会計ソフトなど、会社ごとにさまざまな業務ツールを導入しているケースもあるでしょう。こういったソフトの多くは、標準ソフトとしてエクセルとの連携ができるようになっています。導入済みのソフトとエクセルの管理シートを連携させることで、一層の業務効率化を実現可能です。
エクセルのシート同士で連携することもできるので、他の業務も併せた一括管理も行えるようになります。
自由にカスタマイズできる
エクセルは表計算ソフトであり、自社の用途に応じて一からフォーマットを作成することができます。インターネット上で数多く公開されている、目的別のフォーマットを活用するのもよいでしょう。
仮に管理項目やデータ入力規則の設定などが自社の求めるものと違ったとしても、フォーマットを少し変更すれば簡単に対応できるようになります。自社の管理方法に合わせて最適なフォーマットにカスタマイズすることで、高効率な運用が可能になるでしょう。
物件管理・顧客管理をエクセルで行うデメリット
上で紹介したように、エクセルは物件管理・顧客管理を行うのに適した特徴を数多く備えています。一方で、エクセルを使用するのにはデメリットがあることも忘れてはなりません。次に紹介する3つのデメリットもしっかり把握しておきましょう。
複数人での共有・操作が難しい
エクセルは個人で作業するにはとても優れたソフトである一方、複数人で並行して作業するのには向いていません。共有ネットワーク上にフォーマットを保存している場合、誰か一人がシートを更新している間、他の人はそのシートを更新することができません。
情報を更新するには、更新中の人がファイルを閉じるのを待つか、コピーしたファイルに上書きするしかなく、業務効率が低下する可能性があります。また、更新用のコピーファイルが乱立して、最新版データが分かりにくくなりがちなのも問題です。
管理が難しい
エクセルは情報を簡単に管理できる反面、セキュリティ面はそれほど優れているわけではありません。大切な情報をエクセルで管理していると、外部への情報漏えいやハッキングの危険性が高まり、事業上のリスクにつながります。特に、個人情報を含む顧客情報が漏れると会社の信用にも関わるため、エクセルのみで管理するのはリスクが高い行為といえるでしょう。
加えて、情報を追加したり削除したりするのは全て手作業なので、入力や削除を誤る可能性がある点にも要注意です。
ファイルが重くなる
エクセルは、シートに入力した情報量が多いほどデータ容量が大きくなります。物件情報や顧客情報をエクセルシートで管理していると、あっという間にデータが膨大になってしまい、重くてなかなかファイルが開かない、動作が遅くなるという事態が発生します。起動してからも更新や保存に時間がかかるので、操作性が落ちてしまうでしょう。
物件管理・顧客管理をエクセルで行うことに対する課題
上述のデメリットを踏まえ、エクセルで物件管理や顧客管理を行う際にどのような点が課題になるのかを紹介します。以下で紹介する課題をいかに解決するかが、物件管理・顧客管理を効率的に行うための鍵となるでしょう。
データの一元管理が難しい
物件情報も顧客管理もデータを頻繁に更新する必要があるため、管理数が増えるほどエクセルでの管理が難しくなるでしょう。
エクセルには、複数人で同時に編集できないというデメリットがあるため、リアルタイムに並行して複数の情報を更新することができません。別のコピーファイルをつくったり、物件や顧客のカテゴリに分けて別ファイルで管理したりすれば、情報の散在や重複が発生して一元管理ができなくなってしまいます。
別部署や他店舗とも情報を共有するとなると、なおさら管理が難しくなるでしょう。管理物件や顧客が一定以上の企業においては、エクセルだけでの管理は現実的ではありません。
セキュリティリスクがある
上でも紹介した通り、エクセルはセキュリティ面にリスクがあります。ファイルの閲覧権限や編集権限をパスワードで制限することは可能ですが、パスワードさえ分かれば簡単にアクセスや改変ができてしまうので、強固なセキュリティとはいえません。セキュリティの脆弱さを悪用されれば、個人情報や社外秘の重要情報などが漏えいするリスクがあります。
昨今はリモートワークが定着していることもあり、セキュリティをどうやって確保するかが大きな課題となるでしょう。
業務効率が悪い
エクセルは誰でも簡単に操作できる反面、データ入力や情報更新は手入力が基本です。そのため、入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすいという課題もあります。手入力するための時間や手間がかかる分、業務効率も低下するでしょう。
また、エクセルでも複雑な計算やデータ分析を行えるものの、本格的に使いこなすには高度なスキルが求められます。そのため、エクセルの強みである操作性のシンプルさや汎用性の高さを十分に生かせなくなってしまいます。
エクセルの課題を解決する物件管理システムの導入
エクセルを使った情報管理で課題となる業務効率の改善や、一元的なデータ管理を実現するのに適しているのが「CRMツール」との連携です。
CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)とは、顧客の氏名や住所・電話番号、物件名・所在地といった固定的な情報のみならず、顧客とのやり取りやアプローチの進捗状況などの動的な情報も管理できるサービスのことをいいます。
エクセルは、情報を記録・保存しておくデータベースとしては大きな効果を発揮します。一方で、その情報を社内で共有したり営業活動に生かしたりといった、応用的な活用には向いているとはいえません。CRMツールは条件を絞って情報を検索したり、顧客情報に紐づいて自動で物件を提案したり、顧客ログから細かな分析を可能にしたりするなど、拡張的な機能が充実しています。
不動産に特化したコミュニケーションクラウド『Facilo(ファシロ)』を利用することで、登録した顧客情報や物件情報から、顧客のニーズに合った物件をすばやく見つけることが可能です。さらに、顧客ごとに自動生成される「お客様マイページ」で気になる物件をスムーズに比較・検討でき、不動産会社のみならず、顧客にとっての使いやすさも実現できます。
エクセルの課題を解決するだけでなく、新たな顧客体験も提供できるのは『Facilo(ファシロ)』ならではの強みといえるでしょう。
クラウドツールを活用した業務効率の改善がおすすめ
エクセルは標準ソフトとして多くのパソコンに装備されており、その使いやすさから多くの不動産会社で顧客管理や物件管理に用いられています。しかし、一元管理の難しさやセキュリティリスクの高さなど課題も多く、管理する情報が増えるとうまく機能しなくなる恐れがあります。
多くの物件情報や顧客情報を効率的に管理するには、クラウドツールを活用するのがおすすめです。コミュニケーションクラウド『Facilo(ファシロ)』を導入すれば、単に情報を管理するだけでなく、その情報を不動産の営業活動や効率的な追客につなげることができます。
情報管理の効率化を図り、さらに売上アップを目指すのであれば、ぜひ『Facilo(ファシロ)』の導入をご検討ください。